僕は多少の熱を感じつつ聞いたホテルに向かった。今考えると反省なのだがファスナー付きのクリアケースのようなものに保険の書類やパスポートやカードを1枚入れて持ち歩いた。一応夜だしきちんとバッグに入れて持ち歩くべきだが、やはり冷静を保っていたつもりでも焦りと体調不良のお影で普通の判断ができていなかったのだろう。
ホテルは本当に隣のブロックででかくて装飾も立派だった。フロントで聞くとここではできないからあっちのなんとかホテルに行けばできる、と教えてくれた。そのホテルの前で昼間cadeca(換金所)のとこでもめてた現地人が目に入った。また獲物を探してやがる。案の定声を掛けてきたが完璧無視したら後ろからなんか罵声みたいなのが聞こえたがついては来なかった。
途中のホテルでも聞いてみたが宿泊客しか使えない、と言われ必要なら金はもちろん払う、と言ったがノー。体調がとても悪くてどうしても必要だ、と懇願したが他の宿泊客が来て黙殺された。最初のホテルで教えてもらったホテルに行くと今は使えない、のようなわけのわからない答え。隣にあったホテルも理由は忘れたがもダメだったので気持ちが萎えた。僕の英語が足りないのだろうか、必死さが足りないのだろうか、交渉が足りないのだろうか。
あとからあずささんに、ネットのデータを買えばスカイプで電話できる、と教えてもらった。連絡の手段は多いほうが良い。早めにスカイプも使えるようにしようと本当に思った。しかし気づくと、夜風で涼んだせいか多少気分は良くなっており熱も引いた気がしたので宿に帰って持参していたロキソニン飲んでとりあえず朝まで寝ることにした。
しかし全然寝れなかった。
薬を飲んでから40分くらい経ったが熱は上がっている気がし汗が止まらない。頭痛もひどくなり、関節も痛い。発疹も残っている。得たいが知れないだけに怖い。無いとは思うが、例えばマラリアだったら初期症状で高熱が出る、と聞いたこともある。
働いていない頭で色々考えた。
・現在手持ちのCUCは30(約3750円)くらい
・電話はできないのでどこの病院がキャッシュレスなのか、
また運良くキャッシュレスだったとしてもきちんとした手順を踏ん
でいないので恐らく建て替えになる。
運良ければ病院から電話いけるか。
・
他国の貨幣の手持ちは多少あるが万が一入院とかになったら確実に現金では払えな
い。
・日本からの送金は昼間の話を考えると難しそう。
・クレジットカードは甘かったことにVISAとAMEXだった。
カンクンに施錠して置いてきた荷物の中にあまり考えずMaster cardを入れていたが、AMEXを置き、
Masterを持ってくるべきだった。
VISAで使えるとは思うが自信は無い。
・とりあえず病院に行き治療を受けてから考える
正直一刻も早く見てもらった方が良いと自分で感じたので病院を教えてもらおうと、宿のロビ
ーに行くと他の宿泊者や恐らく宿、
というか家の家族とその友人らしき人達がいた。
先ほどホテルを教えてくれた人が、体調を聞いてきた。
電話はできず薬飲んで休もうと思ったが、
熱が下がらず発疹が消えない、と伝え、
発疹を見せるとすぐに病院に行った方が良い、という。24/
7の外国人向けの病院だから英語で大丈夫だ、とのこと。
この時そこにいる人みんなで本当に心配してくれ、スペイン語で話し合ってく
れており必用そうなことは英語で話してくれた。とても心強かったし本音ではここまで親切にしてくれると思ってい
なかったのでそのことに対して申し訳なくも感じた。あと、こんな状況ながらキューバの若者に英語が達者な人が多いことに感心し、感謝した。
とりあえず手持ちのCUCで往復のタクシーはいける。
治療費はクレジットカードでも行けると言われたので、もう信じるしか無い。そもそも旅行保険の証券見せれば払う必要も無いだろ、
と言われ、多分それは無いがとりあえず向かう向かうことにした。
必要な宿代を払って全部荷物を持って行こうと思ったが注射打てば絶対今晩帰ってこれる、
と言ってくれたのでその言葉を信じて貴重品だけ持って出発した。ロビーにいた1人がローカルなタクシーを捕まえてくれ行先を伝えて、値段も最初から決め
てくれたので安心だった。
チャイナタウンを通ったところまではわかったがそのあとはどこに
いるのかわからなかった。
なぜかこおいう時に限ってGPSも使えない。
少し不安だったが運ちゃんがスペイン語で笑顔で話しかけてくれるの
を見てると本能的に安心した。
病院に到着すると受付の女性が聞きやすい英語でゆっくりとどうし
ましたか?と聞いてくれた。状況を伝え、保険の件も相談したが、
日本に帰ってからやってください、
と言われたのでカードいけるか聞くとOKだった。一安心。こんなに金の事で心配することになるとは思ってもいなかった。
座って待っていると気を張っていたせいか少し熱が収まっている気
がした。もしかしてロキソニンのせいか?
とりあえず意外と冷静だったので保険のガイドを見ると事後の場合
は診断書と領収書がいるようだ。受付の人に診断書も頼む、
と伝えた。
自分の番になり診察室に行く。
診察室は質素でコンピューターなどは無く机、椅子、簡易ベッド、
血圧計、書類があるくらいだったような気がする。
体温計はアナログの水銀式だった。少し下がったと感じていた熱は38.
5℃だった。宿ではどれくらいだったのだろう。
医者は眼鏡をかけて、白衣を着た、中年の医者らしい医者だった。何故か僕の頭の中に浮かんだ彼のニックネームは"眼鏡の堕天使"。英語とスペイン語ごちゃ混ぜで内容を理解するのが大変だった。看護師がいる時は通訳してくれた。
ずっといて欲しかったがみんな忙しそうにしていたのでそうも言え
なかった。
とりあえず症状を伝えると、医者は日本と同じく瞳孔を見たり、
血圧を計ったり、聴診器で聴いたりした。その後、痒みはあるか、
とかどんなもん食ったんだ、
とか食ってからどれくらい経って出たんだ?とか聞かれた。
自分でもランチの何かが原因だと確信していた。
医者は恐らく魚だろう、と。宿の人も魚だろう、と言っていた。
その後、看護師が腕とお尻に注射を打ってくれ、しばらく待機。
10分20分で驚くくらい気分が改善した。
発疹は残っていたが体はとても楽になった。
再び医者と話し、getting betterだよ、と伝えると眼鏡の堕天使はニヤつきながら自慢げに力強く頷いた。
その後メモに今日貰う薬の使い方や注意事項を書いてくれた。
スペイン語で、しかも殴り書きで読めねー。
非常に大切なので自分のメモ帳を出して一つ一つ説明してもらった
が英単語が出てこないようでかなり時間を要したがとりあえず許せ
るところまで理解できたのでお礼を言って部屋を出た。
処方箋を院内の薬局に持っていく。
すると別の書類を渡され先にお会計をしろ、とのこと。
会計はVISAのJAL Cardだったが問題無く使えた。診察、注射2本、
薬でトータル60アメリカドルだった。外国人価格なのでもっと高いと思っていたが、それほどでもない気がする。ここは外国人向けの病因らしく、国民向けの病因は恐らく無料なんだろうな。しかしちゃんと設備や薬は整っているのだろうか。
とりあえず薬局に戻ると3種類のはずが2種類しか出ていなかった。
一つは在庫が無いから医師に確認して切った、とのこと。
大丈夫なのだろうか。
そしてその2つと先ほどのメモを見比べると片側の名前が違う気が
してならない。聞いてみると、あー、
無かったから同じ効果の他の薬と変えましたよ。は???
説明しろよ。内容を確認した自分を褒めた。結局同じ飲み方でいいらしい。
若干の不信感を覚えて病院を出ようとすると診断書が無いことに気
づく。
先ほどの受付の人はいなかったのでその時いた人に聞くと診断書は
英語の文字を見て納得したようだが、
英語が喋れ無いらしくスペイン語だけで話しかけてくる。気持ち萎えpart2を起こし、
60ドル捨ててやろうかと思いかけたが運良く英語を喋る看護師が
来てどうやら医者に話して書いてくれるようだ。
眼鏡の堕天使が書き終えた書類を持ってきてくれたので笑顔でグラシアスし
て別れた。ふと不安がよぎり一応簡単に確認するか、
と思ったらいきなり僕の名前が"Hikarin"になっていた。
他はスペイン語でわから無いがどう考えても名前はまずいだろ。内容を確認した自分を再び褒めた。
笑っている余裕もなく申し出ると最初、眼鏡の堕天使は上からむりくり直そうとした
が、じきに諦めて新しい紙に書いてくれたので助かった。
3度目のグラシアス・
ハンドシェイクも食らわせてお互い笑顔でわかれた。
24時間以内なら無料で治療費保証するからまた何かあったら来な
さい(多分)と言ってくれた。
世話になった看護師にもグラシアス・ハンドシェイクを食らわせて呼んでくれたタクシーに乗り込んだ。深夜の11:30頃。
最初聞くと20CUCと言ってきた。
待って待って15しか持ってねーし。じゃあそれでいいよ。
英語がわかるようだ。10で行きたかったが早くベッドで寝たかったしやり取りする気力も無かった。ちなみにこちらの平均月収は15CUCとからしい。そもそも,観光客が落とした金でこの国か成り立っているんだな、と身に染みて感じた。タクシーがどれだけ国に収めるか知ら無いが記録も取っていないのでやりたい放題だと思う。深夜にもかかわらず何故か海岸近くの広
いが、
暗い道にはかなり沢山の人達が話したりそこら辺に腰かけたりして
いた。いつもだったら運ちゃんに聞こうと試みるが疲れていたので止めた
。
宿は運良くキャピタリオのところだったので伝えやすかった。
宿の前で15出すと、ノーノー20と言い出した。
どうやら英語わかっていなかったらしい。
もう抗議する力も腹を立てる力も無く財布の中の小銭と運良く潜ん
でいた1CUC札で払えた。
家に入ると出発前良くしてくれた女性がおり、心からの感謝を伝えた
。
タクシーに乗せてくれた人にもお礼を言いたかったがもう帰ったら
しい。部外者だったのだろうか。
なにか困ったらあそこが私の部屋だからノックして、
と言ってくれたのでまた安心した。
シャワーを浴びる気力も無く、
着替えも無いので貴重品をロッカーに入れて長い長い1日を終える
ためにベッドに入るとすぐに意識を失った。
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